天真正伝香取神道流

神武館に伝わる武術、天真正伝香取神道流は飯篠長威斎家直が室町時代中期に創始した流儀である。

伝承は時代を経て、槍、薙刀、剣、居合、小太刀、二刀、棒、手裏剣、柔、築城、軍法、風水、忍、等々膨大な修行体系を有する総合武術として成立した。

​神武館へと伝わる伝系は以下である。

飯篠長威斎家直-飯篠若狭守盛近-飯篠若狭守盛信-飯篠山城守盛綱-飯篠左衛門尉盛秀-飯篠大炊頭盛繁-飯篠修理亮盛信-飯篠修理亮盛長-飯篠修理亮盛久-飯篠修理亮盛定-飯篠修理亮盛重-飯篠修理亮盛次-飯篠修理亮盛清-飯篠修理亮長照-飯篠修理亮盛照-飯篠修理亮盛重(寛陸斎)-飯篠修理亮盛房-飯篠修理亮盛貞-山口熊次郎-林作一郎-林弥左衛門-大竹利典-大竹信利 

流名は新當流、神慮神刀流など時代により変化があったが、林弥左衛門の代より天真正伝香取神道流へと名称を改めた。

神武館では武術として業を修練するのみならず、礼式や伝統的な教授体系を守り、代々伝わる流儀を後世に継承するために活動を行っている。

入門

当流は現代でも入門希望者に血判をもって敬白神文を誓っていただいた上で入門を許す方針をとっている。

この伝統は何代も残されているもので、入門者は謹んで正しい姿勢で当流の修行に励むことを誓うものである。

敬白神文の際に次の規則を守ることを香取大神に誓う​。

敬白神文之証

一、香取大神御伝法ノ天真正伝香取神道流へ入門致スニ於イテハ親子兄弟同門タリトモ猥リニ他言他見致ス間敷ク候事

一、口論或ハ他人に対シ兵法ヲ働キ無礼ノ行ヒ致ス間敷ク候事

一、諸勝負事ハ勿論其他悪敷場所へ立チ寄リ致ス間敷ク候事

一、免許無之時ハ他流試合致ス間敷ク候事

右之条々堅ク相守リ可申候若シ背クニ於イテハ香取大神敵一倍大神ノ御神罰ヲ蒙ル可キモノ也 

これをもって入門希望者は門人となり、当流、師範に対する正しい接し方をはじめて教わり、正しく修得できる姿勢作りと言える。

伝授過程

香取神道流の稽古は師範の指導下で後輩(切り込み)と先輩(受け太刀)が組んで、形を稽古することが主体となっている。

稽古とは「古を稽む」即ち古から伝わる極意を具現化した形を打つことで術儀・姿勢などを体得することをいう。

入門者が始めに修行する表の稽古は以下である。

・表之太刀(四ヶ条)

・表居合(六ヶ条)

・立合抜刀(五ヶ条)

・棒術(六ヶ条)

・薙刀(四ヶ条)

・中段棒術(六ヶ条)

門人が修行を重ね、上達に従って広範囲に亘る伝授が許され、また古式に則って目録・免許・極意皆伝が伝授される。